厚生労働省が大麻推進!?

まずは煽るタイトルで申し訳ないと謝罪からしておきます。久々に厚生労働省の統合医療・情報発信サイトeJIMを見たら「大麻」のページが驚くくらい情報が充実していました。もちろんまだ完璧とは言えず補足していただきたい部分もあるのですが、驚き嬉しく思いました。それにしても厚生労働省は「大麻推進派」になったのでしょうか?ダメ。ゼッタイ。ではなかったのでしょうか?結論から言いますと厚生労働省は、大麻を使った医療を推進しているのではなく統合医療(補完代替医療)とその情報発信を推進しているのです。そのことについて解説してまいります。

 

厚生労働省はなぜ統合医療情報サイトで「大麻」を取り上げるのか?代替医療に関する言葉の整理

 

厚生労働省といえば大麻を取り締まりをしていてダメ。ゼッタイ。普及運動にも参加しています。(トップ画像参照)これは薬物乱用防止の観点からの話なのでおそらく監視指導麻薬対策課いわゆるマトリが関係している政策と思われます。ところが統合医療の観点からみれば海外で大麻を使った研究や治療の実績はすでにデータの蓄積があります。厚生労働省は統合医療(補完代替医療)を推進する立場ですので同じ省内でも見解の違いからこのようなことが起こっているのではないかと推測されます。

まずは言葉の整理から始めます。

2012年から2013年にかけて行われた統合医療のあり方に関する検討会で厚生労働省は民間療法のことを「相補代替療法」もしくは「補完代替医療」と呼ぶことにしました。そしてそこでは生活の質を高める手段として、現代医学と補完代替医療の組み合わせることを「統合医療」という言葉で説明しています。統合医療という言葉に明確な定義はありませんが医師の主導で行われるケースが多いです。代替医療に関する言葉も定義はされていないのが実情ですが「代替医療」は通常医療を否定する意味合いを持ってしまうために今はあまり使われなくなった言葉です。*しかしながらここではわかりやすくするために通常医療と違う医療という意味ではすべて代替医療という言葉を用いることにします。

「通常医療」とは民間療法や代替医療に対して使われることが多い言葉です。「標準治療」とは国立がん研究センターがん情報サービスによると科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療のこと。です。医療従事者でない人は通常医療や標準治療といわれると並みの治療、あまりよくない治療というイメージを持ちがちですが今現在の最良の治療と言えます。そして「現代医学」という言葉も西洋医学と同じような文脈でつかわれることが多いです。正式な医学用語というよりは俗語で東洋医学などの言葉と対比して語られることが多いです。

一般的に先進国の病院では「通常医療」、「標準治療」、「現代医学」と呼ばれるような治療が行われます。日本でも同様です。医師が本格的な漢方治療やヨガの指導をする病院(クリニック)もありますし、大学病院で鍼灸外来があるところもあります。しかし、それは例外的です。医学は科学技術の発展とともに様々な病因の分析や治療法の開発がなされ今日までに進歩してきました。臨床試験等を経て安全性や効果がある治療方法が「通常医療」や「標準治療」などとよばれています。そして、ある疾患に対する治療法の推奨度はガイドラインとしてまとめられています。一方で、生活習慣やストレスなどに起因する精神疾患、アレルギー疾患、がんなどについては必ずしも容易に克服できない状況が続いています。全てが通常医療で解決できるわけではない「治りづらい、解決が難しい疾患」がたくさんあるのです。そのような背景からも健康食品やマッサージ、鍼灸など通常医療に組み込まれない代替医療が広く利用されているという現状があります。このように一つの社会に複数の医療体形とそれを支える信条が多様的、多層的に存在していることを医療社会学・医療人類学の分野では「多元的医療体系(システム)」と呼びます。

 

海外と日本の代替医療の流れ

 

もう少し言葉を掘り下げて今度は海外の状況とその歴史について見ていきましょう。

アメリカ合衆国は医学研究だけではなく代替医療分野の研究も盛んです。国家的な取り組みとして1992年に国立衛生研究所(NIH)に代替医療局(Office of Altanative Medichine=OAM)を設置しました。1998年にはこのOAMが国立保管代替医療センター(National Center for Complementary and Altanative Medicine=NCCAM)となりました。当初NCAAMは補完代替医療をComplementary and Altanative medicineすなわち「一般的に通常医療とみなされない医療、ヘルスケアシステム、施術、生成物などの総称」と定義していました。Altanative medicineが代替医療の訳でこれは通常医療である西洋医学を否定する意味合いがあることからComplementary health Approaches Medicineすなわち「補完代替医療」という用語を用いるようになってきました。NCCAMは現在、国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health=NCCIH)という呼び名に代わっています。それにしてもなぜアメリカでは代替医療が盛んなのでしょうか?70年代のニューエイジ思想、医療制度、サプリメント産業が盛んなことなど様々な理由が考えられますが、現在のいわゆるグリーンラッシュと呼ばれる大麻解禁の世界的な流れも1996年のアメリカカリフォルニア州での医療用途での大麻解禁から起こっていることはとても興味深い事実です。アメリカが代替医療の盛んな国である一つの根拠といえるかもしれません。

 

本邦では民主党政権の鳩山由紀夫氏が首相だった時に予防医療の観点から統合医療が推進されました。厚生労働省は前述の「統合医療のあり方に関する検討会」で民間療法に関する国としての位置づけについて協議を重ねました。民間療法と一口にいってもその効果や科学的な根拠は玉石混合ですが各種療法として鍼灸、カイロプラクティック、アユルベーダ、マッサージ、ヨガ、ハーブやサプリメントなどがその範疇に含まれます。重要な点として国は方針として統合医療を推進する立場をとっているということです。エビデンスのないものも、ただ野放しにするということではなく安全性や科学的根拠に関する情報公開をしっかりと行い、また臨床研究を支援する方針をとっているのです。代替医療というものは人間の深い欲求に根差しておりなくなることはありません。禁止するのではなく積極的な情報公開を行ういわば「ハームリダクション」的な方針を採用しているのは非常に興味深いです。厚生労働省は現在eJIMという代替医療の情報公開サイトを運営し、その効果や安全性、科学的根拠についての情報公開を行っています。鍼灸やハーブ療法などある程度エビデンスのあるものから一見するとアヤシイ治療方法まで掲載されていますが背景にはこう言った理由があるのです。漢方なども国によっては補完代替医療の範疇に入りますが日本は漢方もエキス剤にし一部保険適用となっているのでeJIMに漢方は掲載されていません。

 

厚労省が大麻の情報を積極的に公開している理由、と補足してほしいこと

以上のことから厚労省が行う大麻に関する積極的な情報公開は、統合医療推進にともなう情報提供であり「社会的な害を最小限に減らすため」いわばハームリダクションのような意味合いが強いのではないか、と推測されます。大麻に関して言えば同じ厚生労働省でも、ダメ。ゼッタイ。と完全否定するセクションもあればこのように代替医療の一部として紹介するケースもあり非常に興味深いところです。

また、厚生労働省のサイトに大麻に関する情報を載せてくださっていることは非常にありがたいのですが補足していただきたい事もあります。FDAが警告しているようにCBD製品と医薬品の違いについてはもう少し細かく解説したほうがいいのではないかと感じています。同じ成分でも医薬品と食品(サプリメント)では違いがあるのですがそれについて理解できている消費者は少ないからです。さらなる情報公開を期待しています。

 

PS:ここから先はあくまでも私の予想です。興味がある方だけお読みください。「代替医療は推進せざるを得ないしすでに検討会を通して議論されている。その中の一つとして大麻も紹介している」、「生薬の管理や問題点はすでに検討会を行い議論されている。」・・・ここからどんなことが想像できるかといいますと当然、厚生労働省は大麻草を使った代替医療は認識していますし、大麻取締法が改正されたあとはOTC医薬品で大麻草を使った製品が登場するのが予想以上に速いのではないか?ということです。もちろん普通に考えればすぐには無理でしょう。しかし議論の下地はすでにあるのです。私たちの予想以上のスピードで物事が進み近い未来、マスコミ等をにぎわせるニュースがあるかもしれません。

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